IAN BROWN I'M BACK!#2
●解りました。じゃもう今日はこの件について、これ以上深く追及するのはやめておきます。それじゃあですね、この辺で今日の取材の真の意味での目的であるあなたの再出発について訊かせてください。まずはシングル”MY STAR”というのが、あなたの復帰第一弾になるそうなんですけど。これについて、あなたが込めた思いを。
「そう・・・基本的な詞のテーマとしてはこの90年代特有の傾向ともいえる、現代人の『超常現象や宇宙開発に対するオブセッション』についてなんだ。特にアメリカのNASAとかが巧妙な国民意識の操作とともに行ってるような火星開発や木星開発、つまり表向きには何かドリーミィなSF物語を連想するようなイメージを使って次々に打ち上げてるサテライト・ステーションが、実は真の目的は『自国の軍事力増強』であるっていう・・・この恐ろしいほど巧妙な洗脳に気付いてるアメリカ人が一体何人いるんだろう?とある日ふと思ったのがこの曲を書くきっかけになったんだよ。すでに世界最強の兵力を持つアメリカの、その国民の大半がそんな洗脳に犯されてるとなると、他の世界中の国々にとってはまるで時限爆弾を抱えてるようなもんだな、と思って」
●ふーむ、じゃあ純粋に詞の面からのみ言えば、かなりシリアスでヘヴィな社会問題がテーマになってるわけですね。で、その”MY STAR”なんですが、昨日ついに聴かせていただきました。本当に素晴らしいナンバーでした。サウンド面においては具体的にどういうメンツが関わってるんでしょう?何でも今回のあなたのいソロ作にはあのレニとマニが参加している、という話も聞いたんですが。
「といってもアルバムの全曲に参加してるってわけじゃなく、”CAN'T SEE ME”ってナンバーだけなんだけどね」
●え?そうだったんですか。じゃあその他の曲で演奏しているミュージシャンたちというのは?
「んーっと・・・”MY STAR”と”CORPSES”ではアジズがリード・ギターとベースを演奏してて、”ICE COLD CUBE”と、あと2曲においては僕がベースを弾いてるんだ。それと”CAN'T SEE ME”においては僕がリード・ギターを弾いてるんだよ」
●へえ〜っ?!あなたがベースやリード・ギターを?
「うん。で、その他の2〜3曲においてはアコースティック・ギターを弾いてるし、”LIONS”って曲ではキーボードまで弾いてるんだ」
●どひゃ〜!予想外というか驚いたというか。一応ベースのほうは、ローゼズ初期にヴォーカルではなくベースを受け持っていたあなたですから、さもありなんとうなずけるんですが。しかしアコースティックやキーボードとなると、ちょっと練習したからといって誰にでも簡単にこなせるようなインストゥルメントじゃありませんしね。
「全部独学なんだ。ローゼズ解散声明を出して以来ずっと半年以上、ほとんど誰とも会わず家に閉じ籠ってばかりいたからさ。最初は気分をまぎらすためにその辺に転がってた楽器を触り始めたのが、そのうち本気で没頭するようになってしまって」
●へええ、凄いですね。でもギターやキーボードってまるっきりの独学でも演奏できるものなんですか?
「そう・・・であることを願ってるけどね。でも一応どの楽器も音楽的なサウンドにはなってると思うし・・・。で、その時、僕ん家にあったアコースティック・ギターって実は94年頃レニが僕にプレゼントしてくれたものだったんだよ。『そりゃ今のお前としてはこんなもの必要ないと思ってるかも知れないけど。でもいつか必ず俺がこのギターをお前にプレゼントしたことを感謝する日がくる筈だ』ってさ。で、その数年後に実際、奴の言った通りになってしまった・・・。つくづく不思議なめぐり合わせを感じるんだ」
●ぐっとくるようなエピソードですね・・・。ところで、このソロ作を作るにあたってプロデューサーなどはつけたんでしょうか。
「いや、エンジニアを一人使った以外は全てセルフ・プロデュースでいくことにしたんだよ。僕の頭の中で鳴ってるサウンド感覚をなかなか忠実に再現できる人物が見つからなくて・・・。そういう事情なら少々時間はかかってもいいから一つ一つのインストゥルメンタル・パートを自分で徐々にビルト・アップしていったほうが独創的なものが作れるんじゃないかと思ってね。でもダンサブルでヒップホップがかったナンバー、例えば”CAN'T SEE ME”や”WHAT HAPPENED 2 YA”とかは本格的なヒップホップ畑出身の人物にミキシングしてもらいたいと思い始めてるんだ」
●へええ、例えばどういった人物に目を付けてるわけですか?あなたとしては。
「第一希望は何と言ってもウータン・クランのRZAなんだけど、もし彼が忙し過ぎて無理だってことならダスト・ブラザーズとかもありかな?っていう」
●へええ、凄いなそれは。しかし、シングル”MY STAR”収録中の2曲目”CORPSES”などを聴くと、初期ローゼズのツアー・バスでジミヘンやスライとともにニュー・オーダーの『サブスタンス』がかかっていたことを思い出しました。こういうサウンド傾向もやはりあなたのルーツの一部だったんだなあ、と。
「まあ・・・そりゃ勿論、僕も彼ら(ニュー・オーダー)とは同郷出身だし、ああいうマンチェスター特有のメロディアスなギター・ポップ/シンセ・ポップも自分の音楽ルーツの重要な一部になってると思うよ。だからそれが無意識的にしろあの曲においては出たのかも知れない。でも正確には僕があの手の音に本格的に入れ込んだのはせいぜい90年頃までだったんだ。90〜91年頃を境に僕の音楽的趣味はもっとブラック・ミュージックのファンクやビートに移行してたからさ」
●ええ、ええ。さらに3曲目の”WHAT HAPPENED 2 YA PART2”なども、リズム・トラックは昨今のベックなどを思わせる、つまり白人によるヒップホップの現代的批評になっていると感じたんですが。
「そういう形容には多分『ありがとう』ってお礼を言うべきなんだろうけど・・・でも個人的にはベックを聴くぐらいなら、ウータン・クランなどのモノホンのヒップホップを聴いていたいってほうだから・・・」
●あ、そうですか、それは失礼。で、この曲の歌詞なんですが、これって思いっきりジョン・スクワイアへの思いを歌ってるように聞こえるんですけど。
「この曲を聴いた人間のほとんどがそう言うんだよ。でもこの詞ってナイジェル(・イッピンソン、後期ローゼズのキーボード・プレイヤーだった人物)が書いたんだよね」
●へええ、そうだったんですか。そういえば彼は最近どうしてるんですか?
「ローゼズ解散以来ずっと曲を書くことに専念してて、今回の僕のソロ作の中にも奴と一緒に書いたナンバーが1曲収録されることになってるんだ」
●まだアルバム完成までには時間があるようなんですが、全体的なサウンド傾向としてはどんな感じの作品になりそうですか。
「全体的なサウンド傾向って言い方で説明するのはちょっと不可能なんじゃないかなあ。音楽スタイル一つをとっても曲によってそれぞれ全然違うし・・・一言で言って僕が今日まで培ってきた音の趣味が一気に噴出したって感じの曲ばかりだからね。かなりヴァラエティに富んではいると思う」
●で、このアルバムについての具体的な構想というのはいつ頃、どのようにあなたの中で固まってきたんでしょう? 「部分的にそれぞれの曲のアイディアが浮かんでくるようになったのが確か去年の11月頃からで・・・具体的にそれらの曲を書き上げるようになったのが今年の2〜3月頃。で、それらの曲をちゃんとしたアルバムという形でトータライズしてみたいと思い始めたのが今年の4〜5月頃だったんじゃないかな」
●想像するに、スウェーデンでいきなりふらりとDJをやり、そこではジミヘンやスライなど、ゴリゴリのファンク・クラシックをかけまくったあなたですから、やはり基本的にはそういう方向性でいくのかな?と予想したんですが。
「曲によっては確かにそういう感じのナンバーもいくつかあるけどね。でもその手の曲調のナンバーばかりで占める気もないし・・・まだ最終的にどの曲をアルバムに収録するのかさえ決まってない段階なんだ。だからもうちょっと時間がたってみないと、断定的なことは言えない」
●今回、ヴォーカルで参加しているという元プライマル・スクリームのデニス・ジョンソン嬢は、「まるで90年のジョイ・ディヴィジョンよ」と漏らしてましたが・・・。
「うーん・・・ニュー・オーダーならまだ許せるんだけどなあ。ジョイ・ディヴィジョンってのは昔からどうも苦手で・・・。っていうのも僕、13〜14歳頃ジョイ・ディヴィジョンのギグに行ったことがあるんだけど。その時、一緒に観に行った近所の女の子、12歳ぐらいのその女の子が『サインもらいに行きたい』って言うんで同行したんだよ。で、バック・ステージから出てきたイアン・カーティスにその女の子が走り寄って『サインして』って言ったところ、『僕にフェラしてくれるんなら、サインしたげる』なんて言うんだぜ、あの野郎」
●げえええ〜〜っ!それはまた悪質な。
「だからあれ以来ジョイ・ディヴィジョンの音楽さえ聴く気になれないんだ。あの男、世間では若くして自ら命を絶った悲劇の英雄みたいなイメージで語られてるけど、裏では12歳の女の子に対しそんな言語的精神的暴力を加える奴だったんだよ。他にも何度かそれに似たエピソードをマンチェスターの友人たちから聞いたことがあるし・・・とにかく僕にとっては名前を口にするのさえ汚らわしい存在なんだ、奴って」
●なるほど・・・。じゃ話題を変えましょう。実は以前ジョン・レッキーに取材した際、彼はこんなことも言ってたんですよ。かつてローゼズの1stアルバムのレコーディング中に、あなた方は全員パブリック・エナミーをそらで合唱できたそうで、彼は非常に驚いたと同時に感心してしまった、と。で、今のあなたにとってのブラック・ミュージック、ひいてはヒップホップなどはどういう位置にあるのかな?と思ったわけですが。やはり今でもあなたのグルーヴの根源にはこうしたリズムが刻まれてるんでしょうか。
「勿論、今でもヒップホップやファンクやレゲエのリズム感なんかは僕の音楽の基本みたいなもんだよ。今年リリースされた膨大なアルバム群の中でもウータン・クランの作品を最も高く評価してるくらいだし」
●そもそもあなたの黒人音楽一般に対する傾倒というのはいつ頃、何がきっかけで?
「発端は僕がまだ10歳にもならない頃、叔母にもらった大量のモータウン・レコードだったんだ。で、その後もうちょっとしてから当時のマンチェスターで流行り始めてたジャマイカ系のスカやブルー・ビートに凝り始めて、ラップ、ヒップホップ、シカゴ・ハウスetc.って調子でブラック・ミュージックなら何でも聴くようになったんだよね。もともとマンチェスターってのは昔から”ノーザン・ソウル”なんてジャンルの音楽スタイルもあるくらいで、ことブラック・ミュージックに関しては凄く進歩的な土地柄だったし。あの街で育った者なら誰でも黒人音楽の影響からは逃れられない、ってほどブラック・ミュージックやカルチャーが浸透した街でもあったんだ。だから僕のブラック・ミュージック好きはあの街で育った者としての必然みたいなものだね」
●じゃあ例えばあなたが兼ねてから関心を持っていたレゲエ/ダブ的な手法も、今回のソロ作には取り入れてるんでしょうか。あのマニが参加したプライマル・スクリームの新作『バニシング・ポイント』はどう聴きました?
「個人的にマニの演奏スタイルは大好きなんだけどなあ・・・僕って昔からプライマル・スクリームに関してはあんまり高く評価してなかったから、実は今度の新作さえロクに聴いてないんだよ」
●うーん・・・そうなんですか。にしても、今回のあなたのソロ作には肝心のレニが参加しているということで、ファンとしても異常な関心を寄せてるんですが。実際、現在の彼ってどうなんでしょう?ちゃんとミュージシャンとして使いものになるんですか?
「もう使いものになるのなんの。今の奴はヘタするとローゼズ時代より何千倍も腕が上がったってもんで。実は先週も奴とジャムったばかりなんだけど、あんまりノリがいいんで翌朝の明け方までお互い時間を忘れちゃったくらいでさ」
●へええ。でもこれまでレニについて語られていた情報といえば、「ドラッグ中毒になってしまった」だの、「もはや音楽へ向かうモチヴェーションさえ失ってしまった」だのといった、果たして復活することが不可能なんじゃないか?と思えるようなものばかりでしたし・・・。
「そんなのは本当のレニを知らない連中による悪意の籠ったデマでしかないよ。だって奴はローゼズをやめて以来ずっとドラムだけじゃなく、ギターやヴォーカルの練習に明け暮れてたと同時に、曲までもうかなりの量を書いてるんだからね。で、今はちゃんとした自分のバンドを組むためにメンバー探しをしてるところなんだ。あっそうそう、今の奴はピアノまで相当の腕になってるんだぜ。先週、会った時じっくりとその腕前まで見せてもらったけど」
●へえっ?凄い。でも現在のレニがそんな風に自分のバンド活動に専念しようとしてる最中となると、今回のあなたのソロ作におけるレニの参加というのはどういう経緯で実現したわけですか。
「さっきの話にも出た”CAN'T SEE ME”におけるレニのドラムってのは、ずっと昔のローゼズ時代のテープの中から僕が選んだものなんだよ。だからこの曲のレコーディング用にレニが直接ロンドンのスタジオまで来てプレイしたわけじゃないんだ。そもそもの発端はこの曲のリズム・パターンがやや”フールズ・ゴールド”っぽいことに気付いたから、レニに電話して『お前の昔のテープの中からドラム・パターンを使っていいか?』って訊いたら、即『勿論さ。どんどん使ってくれ』って返事だったもんで。というわけでマニのベースも昔のテープの中から僕が選んだ後、奴の承諾を得て使うことになったんだ」
●そうだったんですか、なるほどねえ。じゃあここで改めて訊かせていただきます。あなたにとってレニってどういう存在なんでしょう?
「んー・・・お互いに何か心配事や悩みがあるときはいつだって心おきなく電話して話し合ったり、冗談を言い合ったりできる悪友同士、かな。ローゼズ時代も、今もさ」
●じゃあマニは?
「マニもそうだよ。奴ともつき合いは長いし・・・何よりも表裏がなくて喜怒哀楽をすぐ顔に出してしまうところが可愛くもあり、憎めないよね。昔からどこへ行ってもみんなに好かれる奴だったし、今もプライマル・スクリームでメンバー全員に愛されてるみたいじゃない?」
●ええ。で、あなたもアルバム・リリース後にはライブやツアーをやることになると思うんですが、そのメンバー捜しのほうは? 「もうドラマーだけは決まってるんだよ。今回の僕のソロ作でも”CAN'T SEE ME”以外の全曲でプレイしてるサイモン・ムーアっていう奴なんだけど、弱冠23歳なのにやたら凄腕なんだ」
●へええ。”WHAT HAPPENED 2 YA”のドラミングなんか一瞬レニじゃないか?!と思ったんですけど。
「うん、今のマンチェスター勢の中では多分ピカイチなんじゃないかな」
●ということはツアーの最中にレニやマニがゲスト出演という形で飛び入り参加する可能性は?
「うーん・・・現時点においてはレニもマニもそれぞれ自分のバンドのことで手いっぱいだしさ。ま、その時期になってみないと解んないけど・・・今の状況においてはかなり難しいかもね」
●あーっ、実現して欲しいなあ。それとさっきは興奮し過ぎて訊き忘れたんですけど、今回のソロ作収録用の曲はナイジェルと一緒に書いた1曲を除き、全てアジズとの共作なんですか。
「いや、アジズとの共作は3曲だけで、あとの8〜9曲ぐらいは僕一人で書いたものだよ」
●で、アルバム・タイトルのほうは巷でささやかれているように『UNDER THE PAVEMENT AT THE BEACH』になるんでしょうか。
「いや、現時点においては『UNFINISHED MONKEY BUSINESS』にしようかと思ってるんだ」
●何でまたあなたがモンキー・ビジネスなどというタイトルを?
「誰だったかな?僕のことを何故か『キング・モンキー』って呼ぶ奴が居て・・・あっそうそう、ドッジーのドラマーの奴だ。その男が英『ガーディアン』紙とのインタビュー中『最近のイアン・ブラウンはキング・モンキーって呼んでやらないと返事もしないんだぜ』って発言をしてて、それがきっかけでこのタイトルを思いついたんだよ」
●本当にあなた自身、彼に対しそんなことを言ったんですか?
「言わないよ、言うわけないじゃん、そんなこと。その男とはロクに話しをしたことさえないってのにさ。だから奴としては『ローゼズ解散後のイアン・ブラウンはそこまで頭がおかしくなってしまってるんだ』ってニュアンスを込めたくて、そういう言い方をしたんじゃないの?」
●なのにそれをアルバムのタイトルにするわけですか?あなたは。
「うん」
●・・・。ったく、大丈夫なんですよねえ、ホントに。で、この”MY STAR”という復活第一弾シングルは、具体的にいつ頃リリースされるんでしょう?
「最初は11月の初旬当たりに出そうと思ってたんだけど、そうするとちょうどクリスマス・ダッシュにバッティングしちゃうしさ。だから今は、来年早々、一月の上旬頃にしようかと思ってるんだ」
●じゃアルバムは?
「”MY STAR”の1カ月後ぐらいには2ndシングルをリリースしたいと思ってるから・・・アルバムはどうしても2月頃になっちゃう可能性が高いな、今のところ。で、それまでにバンドのメンバー捜しをして、リハーサルやって、その後にツアーって感じになるから・・・本格的なライブ活動は多分、来年の夏頃になると思うよ」
●その頃には日本へも必ず来る、と。
「勿論」
●じゃここで非常にベーシックな質問をさせていただきますが、今のあなたにとって最近のシーンというのはエキサイティングなものなんでしょうか。それとも正直言って退屈ですか?
「とんでもない、退屈だなんて。これほど次から次に面白い新人が出現してるっていうのに・・・。それにここ最近はウータン・クランみたいな、かつてはハードコア・ファンたちにしか知られてなかったような連中までが、本格的にメジャー・ブレイクするようになってきてるしさ。個人的にも今ほどエキサイティングなシーンはここ久しくなかった、って感じだよ」
●オアシスは当面の攻撃目標(笑)だと思いますが、いかがですか?あなたとしては。
「音楽的に言って・・・連中のやろうとしてることと今の僕がやろうとしてることは全然違うからなあ。たとえかつての彼らが『初期のストーン・ローゼズがやろうとしてたこと』を出発点にしてたとしても、今の僕がレコードまで買って彼らから学ばなきゃならないことは何ひとつないと思うし。ビートルズとピストルズの合体フォーミュラっていう今の連中のスタイルも、もうこれくらいが限度のような・・・。でも人間的には今でもメンバー全員がいい奴らだけどね」
●じゃ例えばプロディジーが果たしている役割、つまりテクノ・ミュージックの大衆化やヒップホップ・フィールドとの積極的融合などについてはどう感じてます?
「ああ間違いなくプロディジーがやってることのほうが僕としてもシンパシーを抱けるよ。個人的にはテクノってあんまり好きじゃないけど、彼らがいろんな音楽フィールドの垣根をぶっ壊して、何か全く新しい地平を現出させようとしてるところなんかまさに”フールズ・ゴールド”を出した頃のローゼズにも通じるものを感じるし。それに連中のライブの雰囲気ってのも最高だしね。今、最も聴き手とのテンションが築けるバンドなんじゃないの?」
●ええ、我々もそう思います。じゃこの辺で締めの質問を。あなたが復活することで、シーンには再び新しい風が吹くと思うんですが、最後にそういうあなたの意気込みと、ファンへのメッセージをひとつ。
「・・・こんな僕のことを辛抱強く待っててくれてありがとう。僕は今でもちょっと頭がイカれたマンチェ野郎に過ぎないけど・・・何て言えばいいか解んなくなっちゃったよ。・・・じゃあまた近いうちに日本で会おうな」
●(苦笑)ったく、相変わらずこういうことになると口下手ですね。ちなみにこの号の表紙に掲げるヘッドラインは「IAN BROWN,I'M BACK!!」なんですけど。どう思います?これ。
「ああ最高だよ(笑)。『ターミネーター』の口癖のもじりだろ?まさに僕にぴったりだ」 ■■